蜜月なカノジョ(番外編追加)
第二章

『ナオさん』と『直斗さん』



「杏っ、ただいまぁーーーーーっ!!!」
「お、お帰りなさい、ナオさ__きゃあっ?!!」

いつもよりほんの少し躊躇いがちに迎え入れた私が目に入っているのかいないのか、満面の笑顔を浮かべて帰ってきたナオさんは、そのまま凄まじい勢いで私をその腕に閉じ込めた。目の前には相変わらずのぼよんぼよん爆弾があって息が出来ない。ぐ、ぐるじいっ!!

「な、なおさっ…息がっ…!」
「あぁっ、ごめんなさい! 大丈夫っ?!」
「は、はい…」

一転体を離してオタオタし始めたものの、ナオさんの頬の緩みは隠せていない。
…それどころか涙ぐんでるような。

「杏…」
「…はい」
「…杏、杏っ、杏ーーーーーっ!!!!」
「ひぇえっ! な、ナオさんっ?!」

ナオさんがとうとう壊れてしまった!
どうしたものかとプチパニックを起こす私の体を再び引き寄せると、今度はそっとそーっと、真綿で包み込むようにして抱きしめ直した。
…けれどその手が微かに震えているのが伝わってきてハッとする。咄嗟に顔をあげようとした私の動きを封じ込めると、代わりにナオさんが私の肩に顔を埋めた。

「杏……」
「…ナオさん…」

たった一言。
名前を囁かれただけなのに、それに全てが詰め込まれているような気がして、途端に私の目まで潤んできてしまう。それが零れ落ちそうになるのを何とか堪えながら、そのままナオさんの大きな温もりに包まれ続けた。

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