俺様御曹司とナイショの社内恋愛
第1章/誠に遺憾ながら



「合意の上だよ」

白石 諒(シライシ リョウ)はしれっとそう言った。

「昨夜は飲み会兼、川本さんの歓迎会だったのに。
川本さん酩酊しちゃって、俺がタクシーに乗せたんだけど、住所も言わずに眠りこんじゃったから。
放り出すわけにもいかないし、しょーがなく俺のマンションに連れてきて。

ベッドを譲って、俺はソファーで寝るつもりだったけど、川本さん自分から服を脱ぎ始めてさ、あとはまぁ、流れのままに———」


「うそ・・・」

「ほんと」

シーツに体に巻きつけて、あたりに目を走らせると、ベッドの横に散らばっている下着と服が目に入った。
郁の視線を追って、白石が優雅ともいえる仕草で、拾い集めてベッドの上に並べてくれる。下着までである。恥ずかしさに体は固まり声も出ない。

もそもそと身につけて、なんとか人間らしい姿を取り戻す。
白石は、さすがに視線を外してくれていたけれど。同じ空間に男性がいるなかで、服を着る恥ずかしさといったら。

ショックと混乱は未だ引かない。
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