それはちょっと
Kiss9*あなたのそばにいたいんです
腕時計に視線を向けると、もうすぐで9時になろうとしていた。

窓の外は真っ暗で、空には銀色の月が浮かんでいた。

今日の月は満月かと、私はそんなことを思った。

「あー、疲れた…」

そう呟いてオフィスを見回すと、誰もいなかった。

どうやら、ここにいるのは私1人だけみたいだ。

こんなに残業したのは久しぶりなような気がする…。

戸締りをしっかりとして、早く家に帰って…ああ、夕飯はどうしようかな。

コンビニに寄り道して何か適当なものでも買うことにするか。

そう思いながら、それまでやっていた仕事を保存すると椅子から腰をあげた。

「あれ?」

その声が聞こえたので、私はそちらの方に視線を向けた。
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