シンデレラLOVERS

日菜琉視点


有宮くんの提案で、わたしたちは初めていつもの帰り道以外の場所を並んで歩いてた。



有宮くんみたいな格好いい人と歩くなんて緊張してしまう。
でも、提案してくれたことが嬉しくてすごく楽しい気持ちになる。



こんな風にしてたらわたしたちも、普通のカップルに見えるんだろうか。



そんなわけない……。
有宮くんにしてみればわたしなんて、並んで歩くのも恥ずかしいような女の子だから。


こんな滅入ってしまいそうな気分を吹き飛ばしてくれるような光景が、気がつけば目の前に広がっていた。


「わぁ……」


駅前の裏口。
毎年恒例のシンボルツリーのイルミネーションが、クリスマスを前にしてライトアップされてる。


ちょうど電飾にスイッチが入ったみたい。


まばらな人影の中で、イルミネーションがキラキラと点灯し始めた。



シンボルツリーのてっぺんから移り変わっていくイルミネーションの光に見入ってしまう。



これを見てると思い出すことがある。


わたしの中の憧れの思い出。



「わたし……毎年ここ来るの楽しみにしてたんだ」


不意に口を開いたわたしの言葉に、有宮くんは怪訝そうにこちらに視線を向けた。


< 46 / 115 >

この作品をシェア

pagetop