シンデレラLOVERS
リベンジと本音
日菜琉の家があるマンションからの帰り道。


「……水原さんに会ってきたのか?」


俺の家の手前まで来たところで、待ち伏せていた紘也に声をかけられた。


校門での俺たちのやりとりを見て、あの場で居たたまれなくなっていた日菜琉を連れ出した張本人。


俺が日菜琉に会いに行くって予想してたらしく、ここで俺の帰りを待っていたらしい。


「ちゃんと話したのか? ヨリ戻すって」


「……した」


「彼女なんて?」


まるで事情聴取でもされてるみたいに、真顔の紘也がじっと俺の顔を見据えながら質問してくる。


「日菜琉に悪いと思って、殴ってって頼んだら……キスされて好きって言われた」



だからありのままを紘也に淡々と説明する。


俺にとっては予想外だった日菜琉の行動に、紘也は特に驚いた様子は見せない。


もしかしたら、紘也はこうなることを薄々勘づいていたのかもしれない。


「賭けはおまえの勝ちだな」


「えっ……」


「水原さん、おまえのこと好きだって言ったんだし。善雅の言う通り、同級生の女の子に満足な恋愛を提供出来たってことだろ」


紘也に言われて、賭けのことを思い出した。


初めに紘也と約束したように、日菜琉をオトすことが結果的には成功したのかもしれない。



「……そうだな」


本当に俺は日菜琉に満足な恋愛を提供出来てたんだろうか……。


紘也の言葉に頷いてみたものの、内心ではモヤモヤが募っていた。

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