好きの海に溺れそう
幼なじみは幼なじみ
誰かをものすごーーく好きだって思って、幸せだって感じてみたい。




好きな人と一緒にいると本能が幸せって告げるのは経験でわかってる。




あたしには彼氏がいるけど、いつしか幸せは感じなくなってた。




ちなみにあたしは美人だし、告白も日常茶飯事だ。



背は高めで髪は背中の少し上まである明るい茶色のストレート。




メイクはほどほどでいわゆるJK。




毎日凄く楽しいけど、幸せってのはまた別かな。




「杏光?」




あたし、暮名 杏光(クラシナ アンミツ)の名前を呼ぶのは、幼なじみで1個下の霜月 海琉(シモツキ カイル)。




可愛い顔してて、やたら先輩にモテる。




それは、海琉と学校が同じなあたしがよく知っている。




「何」

「今日、暇?」

「暇って言ったらどうする?」

「買い物に付き合わせる」

「じゃあ暇じゃない」

「『じゃあ』って…」




今はあたしの家。海琉があたしの家(というかあたしの部屋)に勝手にあがってきた。




退屈な毎日でも、楽しみは一つだけ。




それが、海琉いじり。




あたしってSなのかな。




友達の日夏(ヒナツ)にそう言ったら笑いながら「当たり前」って言われた。




でも、何か違う気がする。




海琉以外にはS心が沸かないし。




だけど海琉が好きだから、とかじゃない。それは100%あり得ない。




お互い恋愛対象外だもん。




それに、愛のない彼氏さえ、誰かに「彼氏にするなら今カレと海琉どっちがいい?」って聞かれたら、即答「今カレ」って答える。




第一海琉が彼氏なんていや。




海琉って顔はいいけどヘタレなんだもん。




海琉は童顔でかなり可愛い顔をしてるけど、あたしのタイプとは真逆。




年下というのもかなり私の中ではあり得ないポイントかな…。
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