好きの海に溺れそう
幼なじみの失恋とその先
~海琉~

告白するのは人生ではじめてで。




そもそも、恋愛経験がそんなにない俺。




前に人を恋愛感情を持ったのは、小学四年生の時…。




隣の席の子がなんとなく気になって、そこそこ仲良くて好きだなと思っていたけれど、何もないままいつの間にか自分の中でのその子に対する感情もなくなってた。




そこから、高校に入学し、現在、六月。




学級委員をやってる田中さん。




雰囲気が幼なじみの玖麗に似てるな~というくらいの印象だった。




でも、気づけばその子にばかり目がいっていて。




ああ、好きってこういうことだと久しぶりに気がつく。




別にどうしたい、なんて思ったりしてなかったけど、この前杏光に「両思いなら付き合うでしょ」と言われ、付き合うものなのか…と気づいたぐらいには恋愛に疎い…。




ってことは、告白をしないと両思いかどうか確認できない。




霜月海琉15歳。人生で初告白します…。




あり得ないくらいの勇気を振り絞り、田中さんを人気のいないところに呼び出した。




不思議そうな顔をしている田中さん。




可愛いって思うとかそんな余裕もなく、杏光と一緒に買いに行ったプレゼントを渡して、俺は口を開いた…。


***


放課後、家への帰路を向かった俺は、家には入らず、まっすぐ隣にある杏光の家へ。




杏光のお母さんの杏香(きょうか)さんが優しく迎えてくれる。




「杏光なら部屋だよー」

「ありがとう」




杏光の部屋を訪ねるのにノックなんて不要なんだけど、自分の心を落ち着かせるのも兼ねて杏光の部屋をノックする。




「杏光?」

「なーにー?」

「入っていい?」

「いいよ」



その言葉にドアノブを掴んでガチャッと部屋を開けたらぎょっとしてしまった。




制服から部屋着を着替えてる途中の杏光。




なんで着替えてる途中なのに入っていいなんて言うの!?




「何驚いてんの、今更。着替えなんて見飽きるくらい見てるでしょ」




「そりゃ驚くよ…。入っていいって言われたし!っていうか杏光の着替えなんて最近見てないし…」
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