地面に足がつき、ぼうっとしていた頭が動き出す。


視界に映り込むのは外灯に照らされる地面と眠る遊具。囲む木々とその隙間から時折漏れる車のライト。


私を連れ出した臨時教師は私に言葉をかけることもなく、近くの自販機で飲み物を買う。


それを眺めながら、私は人形のように立ち尽くしていた。


「千春」


男の人の声がして臨時教師が反応する。彼が手を振ると、ロン毛の男が先生の元へ歩んできた。


「どうでしたか」

「ちょっと脅したら逃げてった」

「さすが役者ですね」


少し言葉を交わした二人が私をチラッと見る。


「あの子知り合い?」

「……まあ、そんなとこです」


薄っすら意味ありげな笑みを浮かべた“ちはる先生”を見て初めて、これは大変なことになってしまったという気持ちが湧いてきた。


今から何を言われるのか。それに店は……。


「なんか俺外した方が良さそうだね」

「そうですね、できれば」


先生の言葉でもう逃げられないのだと悟る。私は静かに覚悟を決めた。


「じゃあまた。来週宜しく頼みますよ、せーんせ」

「はい、ではまた」


ロン毛の男が軽い口調で去って行き、ついに本題に触れなければならない時が来る。


脚が震える。それを寒さのせいにする。

地面にできた影を見つめ歯を食いしばっていると、突然、肌を刺していた冷気が柔いだ。