今日の二限目は昨日の二限目と入れ替えで体育になったと、朝、国語準備室へやってきた先生から聞いた。


他の授業と違い、体育だけは実技がほとんどなため、必然的に授業に出なければならないのだ。


店に出る時とはまた違う気の重さが私を襲う。


普段は一人きりで過ごしていてもそれに対して心が陰ることは無い。独りは気が楽だし、特別扱いを受けていたとしても掲示された条件はきちんと満たしているつもりだから。


けれど、クラスへ行けば異質だ。想像するあの空気。私だけ別物だという、あの。


たった50分だけだと、自分に言い聞かせ足を進める。


袖とスラックスに二本線が入った紺色のジャージ。あまり使う人がいない4階奥のトイレで着替えた私は、体育館用のシューズを片手に階段を降りる。


タン、タン、と一人分の足音が無機質に響く。


着替えたばかりの冷たいジャージは校内の冷気を吸ってさらに私の体温を奪い取る。鳥肌が立った腕をさすり、寒さに縮こまりながら1階へと降り立った。


左手に並ぶ校長室、応接間、それから、会議室の横を通って職員室前へ差し掛かる。そこを過ぎようとした時だった。


行く手にある渡り廊下が通れないことに気付いた。歩幅を小さくし、速度を落とす。


ゆっくりと近づく私の耳に届く、廊下の栓となっている人たちの声。


「呉野せんせっ、よかったら学校案内しますよ!」

「先生って前はどこの学校だったんですかー?」


その中心でにこやかに笑顔を振りまくのは臨時教師ーー呉野千春だ。


ここ一週間、幾度となくこの光景を見た。「人気者」と呼ぶにふさわしい彼は、女子生徒のタッチを器用に躱している。