最後の恋 【番外編: 礼央目線】
まだ本気で誰かを好きになったことさえなかった。


そして、色んなことを間違えてしまうガキだった。


紫乃は俺が今まで断ってきた女の子たちのように簡単には引き下がらなかった。


あいつとの付き合いは長い分、そんな性格もよく分かっていた。


見た目は清楚で大人しそうなお嬢様に見えて、その中身はかなりのワガママで思い通りにならないと気が済まないタイプ。


こう言うと、タチの悪い女のようにも聞こえるが決してそう言うわけではない。


気心のしれた俺たちにはーーーという意味で、誰に対しても何処でもそんなワガママを発揮している嫌な性悪女ではない。


とにかく、俺が何度断っても諦めずに推しが強かったということ。


あいつは雑草のように強い女だった。


私の事、今は好きじゃなくてもいいから。

好きな人が出来るまでの間でもいいから。と


もう何度も何度もそんな言葉を言われ続け最後はあいつの気持ちを受け入れた。


俺を好きだと言ってくれた紫乃の気持ちに応えられたら…と思ったし、友人として好きな紫乃をちゃんと好きになれると思った。
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