そうそう、それでね、と由衣子がニヤッとした。

「じゃ、私からの話ね。何とあのパーティーの大抽選会で見事、早希は2等賞の旅行券が当たりました-!」

え?

「私の抽選券は由衣子にあげたじゃない」
私は自分の分を由衣子にあげたつもり。

「あ、あれはただの引換券なんだって。会社側が持ってる抽選券は記名されてて。そもそも他人が代わりにもらうのは無理なんだって」

「そういうシステムだったの?」
「そうらしい」

大抽選会は壇上で社長が直々に社員の名前が記入された抽選券の入った箱からクジを引き、壇上から当選した社員の名前を呼んで商品を渡したというのだ。

「2等が当選者不在で会場がざわついたけど、体調不良で帰宅しましたって言ったら後日、社長室で渡すってことに落ち着いたから」

ええー。

「ちゃんと渡したかを社内報で写真掲載してお知らせするって言ってたから、しっかりメイクして受け取りに行ってね」

「まさか、そんな・・・」
普通なら嬉しいはずだけど、今の精神状態じゃそれもストレス。

「旅行券って幾ら分なんだろうね。金額は言ってなかったから。楽しみだねー。もちろん、早希は私をどこかの温泉にでも連れて行ってくれるんだよね」

由衣子はウキウキと楽しそうだ。

「あ、そうだ。もともと由衣子にあげるつもりだったんだから私が受け取ったら由衣子にあげる」

「えー、何言ってんのよ。一緒にどっか行こうよ。お互い彼もいないんだし。気分転換だよ。女友達と温泉旅行。いいじゃない。それともご両親にあげる?」

「ううん、両親には去年の結婚記念日に合わせて旅行プレゼントしたし、ちょっと今実家は家族旅行って感じじゃないから」

「じゃ、早希は私と行こう」

「そうだね、じゃ、一緒に行こうか」

今の私には必要なことなのかも。

箱根の温泉に1泊とか草津温泉だっていいかも。美人の湯はどこが有名なんだろう。
気分転換にはいいじゃない。