各フロアにあるレストコーナーにテイクアウトした3人分のコーヒーを持って行く。
真美ちゃんにキャラメルラテを渡し、高橋にもコーヒーを渡した。

その様子をじっと見ていた真美ちゃんがニヤニヤしながら
「実はお二人は隠れて付き合ってるんじゃないですか?」
と言い出した。

「そんなわけないじゃない」
即答した私と質問を無視してカフェラテを飲む高橋。
更に真美ちゃんはニヤニヤした。

「お二人って息が合いすぎてるっていうか、わかり合ってるっていうか」

「何でそう思うの?」
私はいかにも不機嫌ですって言わんばかりに目を細めた。

「まず、定食屋さんでの早希さんと高橋さんやりとり。そして、このコーヒーも」

「定食屋で何かやりとりしたかしら?いつも通り。普通よ、普通」

「それですよ。まさにそれ」

「どれ?」

「高橋さんが早希さんに『それ取って』って言ったら、ソースや塩、ドレッシング、しょうゆが並んでいる中で早希さんが黙って高橋さんにしょうゆを渡したんです」

「それがどうしたの」

「普通、魚フライにはソースです。それにお皿にはタルタルソースも付いていたんですよ」

「は?」

「それにですね、コーヒーの好みも私だけに聞いて高橋さんには聞かずに買ってきてますし」

ああ、そういう事か。
チラッと高橋を見ると奴は完全無視を貫いていて、私の奢りのカフェラテ砂糖無しミルク多めを飲んでいる。
まあそれは明らかにノーマルのコーヒーでもカフェラテでもない。
でもそんなことは由衣子だって知っている。
アンタから説明しなさいよと言おうとして、持っていたスマホのメールの着信に気が付いた。

もしかしたらこれって副社長かも。

「あ、ちょっとごめん。メールだわ。急ぎかもしれないから見てくる」

真美ちゃんの誤解を解くのは高橋に任せよう。
高橋をちょっと突いてから私は急いで席を立って二人から離れて人気のない部屋の端に移動してスマホを開いた。