職場恋愛
プースカ文句を垂れつつ、『岩盤浴は女子になるための必須行事だって知らないの?』と返事をしていた。


私行ったことないんですけど…。



「大阪のホテル、岩盤浴あるんだって。女子力高めよ」


いや、なんでつり目さんが女子力高めるの。


「まじ!?岩盤浴あるってなにそれ!?やば!!」


一気にハイテンションになったりんちゃんさん。
そんなにいいものなのかな。



なんか最近流行ってるよね、岩盤浴っていうか、温泉。
私はいつも流行りの波が過ぎ去ってからハマるタイプだからあまり興味がない。



「あ。サイレントにしてたから気付かなかったけど…」



ハイテンションなりんちゃんさんの横で顔面蒼白になるつり目さん。


どうしたんだろうか。


「高木ちゃんと森ちゃんから鬼電鳴ってたらしい。2人んとこ来てない?」


鬼電って、やばくない?

私のスマホには……来てないみたい。
画面には何の通知もなくて逆に虚しい。


「やば!充電切れてる!鳴ってたかもしれない。充電器!!!」


りんちゃんさん、行きの車の中で音楽流したりしてましたもんね…。


「だめだ、どっちも通話中。なんかあったのかね」


携帯だよね?お店の電話だったら出れないの分かるけど、携帯にかけて通話中ってなんでなんだろう。





「つり目」


うわっ。山野さん、いつの間に。


オートロックじゃないから鍵が開いてたら入って来れるのか…。

誰かと電話してるっぽいな。高木さんか、森さんかな。


「おー、いいところに」


「昨日の発注つり目?」


「え?あ、違う」


完全にお仕事モードな山野さん。
さすがリーダー。旅行先でも切り替えが早いです。


「お前?」


聞かれたりんちゃんさんは充電器に繋いだスマホの電源ボタンをカチカチと押している。


「あたしじゃない」


「誰がやったか知ってる?」


「…なかちゃん」


「は!?」


なかちゃんって、アタリさんだよね。
中って書いてアタリって読む、珍しい人。


なんでこんなに驚いてるんだろうか…。
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