あなたのことは絶対に好きになれない!
「あ、ちなみに久美香ちゃんのお家には私から連絡しといたよー。電話番号が分からなかったから、ちょっと携帯見ちゃった、ごめんね。電話帳以外は見てないから!」

「えっ、ありがとう! 連絡しないとお父さんすぐに心配するから……!」

「だよね。昔からそんな感じだったもんね!
あと、勝手に着替えさせちゃってごめんね。それ私の服なんだけど、その方が楽かと思って」

「えっ?」

この服……深央ちゃんの?
これはオウスケくんの服で、オウスケくんが着替えさせてくれたんじゃなかったの?


「俺自分の部屋戻りまーす。とっくに日付変わってるし、飲んでるから眠いわ」

そう言ってオウスケくんは部屋を出ていく。


「何だ、あいつ突然?」

不思議そうに首を傾げる深央ちゃんに、私は服についての疑問を話した。
すると。


「えぇっ⁉︎ ないない、さすがに央介が着替えさせてたら犯罪に近いでしょ〜。間違いなく私が着替えさせたから安心して?」


なんだ……そうだったの。
じゃあオウスケくんは、酔った私をこの家に連れてきてくれただけだったんだ。本当に介抱してくれただけだったんだ。
私に意地悪を言うために、あんな嘘を言っただけだったんだ。
もちろん、意地悪されたことも嘘を吐かれたこともムカつく。
でも……今のオウスケくんは……私が本当に嫌がることや傷付くことはしない……のかな?


そう言えばこの部屋、オウスケくんの部屋かも。深央ちゃんの部屋にしては置いてあるものたちから男性の雰囲気が強い。

……お布団が、温かい。
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