甘々王子に懐かれた!?

神崎 芹香



【慎助side】




「慎助の隣を歩くなんて、久しぶり。懐かしいわ」




計画が上手くいったことを嬉しがっているのか、俺が隣にいるのが嬉しいのか、どちらかは分からないが、隣にいる奴が嬉しそうにしていることは間違いのない事実。


隣にいる奴は、芹香。俺の、元カノ。




「あらら、そんな顔してるとイケメンが台無し。そんなに嫌?私と一緒なのは」




ああ、嫌だよ。


しかも無理やり連れてこられて、隣に歩かされてるんだ。


不愉快極まりない思いをしてるよ。


今日は優茉ちゃんの誕生日であり、俺の誕生日でもある。


俺の誕生日はどうでもいい。毎年楽しみにしていた今日は、今年は別のことで舞い上がっていた。


あの優茉ちゃんの誕生日なんだよ?


優茉ちゃんが生まれた特別な日。どれだけ今日を楽しみにしていたか……、きっと誰にも分からない。


一週間ほど前に等身大パネルはどうかと言ってみたが、却下された。


まぁ、それは予想内でありまして。


それから別の誕生日プレゼントを用意したんだ。


優茉ちゃんに似合いそうな蝶々のイヤリングに、俺の手作りケーキ。


ホールだよ?ホールケーキ。優茉ちゃんが見たら、「私より女子力高いとかふざけてるんですかね」と言ってきそうだなぁとか考えながら作ったんだ。


それで、今日は一緒に帰る約束をしてお祝いしようとしていたのに……。


芹香によって阻まれた。
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