極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~

ゴルフ

でもその前に…


「カーナビ!」


『目的地周辺です』ってマンションや一軒家がいくつも建ち並ぶ住宅街でそれを言われると困る。


「見放さないでよ」


朝早い時間は人の気配がないから聞くことも出来ないんだから。


「こうなったら電話して聞くしかないか」


どんなに嘆いてもカーナビは答えてくれない。
仕方なく車を路肩に止め、助手席に置いていた鞄からスマートフォンを取り出す。

そして事前に教えてもらっていた紬の携帯電話の番号を表示し、通話ボタンを押す。


「プルルルル」


耳元で鳴るコール音になぜか緊張してきた。
仕事の連絡をするのと変わらないのに。


「なにを意識してるんだか」


バカバカしいと自身に呆れて首を振る。

それから視線を前に向けると、10メートルほど先にあるモダンな造りのマンションからゴルフバッグを持った男性が姿を現した。


「あー…あれは反則でしょ」


黒の半袖ポロシャツに黒のローライズタイプのパンツという、いたってシンプルなゴルフウェアだけど、スタイルが良いため、ものすごくオシャレに見える。
某有名ブランドのベルトをアクセントに持って来るところも華やかで品がある。
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