君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
1: イトコは人気俳優

【ぼくが、ゆうはをまもる】




『ぼくが、ゆうはをまもる』



ーーー小学校3年生の時。


それは、水泳の授業だった。

1人だけ上手く泳げなかった笹原 優葉(ささはら ゆうは) はクラスメートの男子生徒にからかわれた。


『へたくそ!ぜったい、おぼれたらたすからないな!』

『もう、プールにはいるなよ!』

どんなに一生懸命、練習を重ねても優葉は、他のクラスメイトみたいにスイスイと泳げなかった。


『………っ』

(あんなに………、練習したのに)

練習が報われない悔しさと、 からかわれてしまう情けなさで優葉の瞳には徐々に涙が溜まった。


しかしーーー


『ゆうはは、およげるようになるよ』


1人だけ………。

ーーーそう、1人だけ



橘  李人(たちばな  りひと)はそう言ってくれた。


『ゆうはは、いっしょうけんめい、プールでれんしゅうしてるんだ。

だから、ぜったいおよげるようになる』


『りひと!おまえよく、あんなぽんこつなおよぎをみてそういえるな!』

『そうだ!そうだ!』



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