君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
2: 広がる想いと夏
【瀬名家への家庭訪問】
ーーーキャンプ場での李人との再会から早、数日。
「あら! 李人君また来てくれたの?おばさん嬉しいわ〜〜〜」
「よく来たね、李人君。何か冷たい物飲むか?」
李人は毎日のように撮影の後、優葉の家に来ていた。
「り、李人君っ」
「お疲れ様、優葉。 バイト終わった?」
「き、今日は休みっ」
「良かった。じゃあ長く優葉と一緒にいられるね」
そう言って、天使のように微笑む李人に優葉は胸を強く打たれた。
(あぁ………、何て顔をして笑うの?)
「晩ご飯もうすぐでできるけど、李人君食べるわよね?」
優葉の母である小春が、李人に麦茶を差し出してそう尋ねる。
「じゃあ、お言葉に甘えて。 小春おばさんの料理はすごく美味しいから毎日でも食べられます」
「まぁ、李人君ったら!イケメンに言われたら張り切っちゃうわよ〜!」
李人に褒められた小春は、がぜん料理にやる気をだし始めた。
(なんて分かりやすい………)
「母さん、あまり張り切って作りすぎるなよ?」
「あなたったら、量はちゃんと考えるわよ!ーーーあら? 」
「どうかされましたか?」
「お醤油がないわ」