君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
3: 夏の終わりに溢れた想い

【初めての対峙】



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ーーーR町花火大会から数日後。

「………は」

「………」

「ーーー優葉っ!」

「えっ!?」

聞き覚えのある声から急に名前を大きく呼ばれ、優葉はハッと意識をその方へ向けた。

「綾子………」

「どうしたの? か、な、りボーッとしてたけど?」

"かなり"という言葉を強調したので相当、上の空だったのだろう。

「ご、ごめんね………」

優葉は、気弱な表情をし目の前の綾子に謝った。

優葉は今日、綾子、晴夏と共に隣町に先月オープンしたばかりの洋食ブッフェレストランに夕食を取りに来ていた。


30人程収容できそうな店内は、壁と椅子の座面、肘掛けが白、そして床とテーブル、その他の椅子の部分はナチュラルなウッド調で統一されている。

壁には、印象派のような柔らかなタッチのヨーロッパの風景を描いた絵画が所々に掛けられている。

ここら辺の地域にしては珍しいモダンな雰囲気のレストランだ。

なので、席を取ることが中々難しく今日やっと3人で来れた訳なのだが………優葉の心中は、あの花火大会での李人との事ばかりで落ち着かなかった。



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