plane~空港で出会えた奇跡~
将来の自分って!?
20XX年X月X日ーーー。
時計台の夢を見て以降、私は仕事に集中出来なくなった。
自宅で好きなアニメを観たり、大好きなフランス近代音楽を聴いても、全く落ち着かない。
そんなある日、PCで“将来の自分を察知出来るチャット”と言うサイトを見付け、問い掛ける夢を見た。
社会人になって数年経ったけれど、“アラサー”である以上【結婚】も考えなくてはならない年頃だ。
でも、【彼氏いない歴】=“年齢”である私にとって、結婚はとても難しいであろう。
それを理解した上でチャットをするのだから「自分探しの参考になったら、それでええやろぅ。」と、気軽な気持ちで初めて見た。
でも、チャットでの応答は、自分が描いていたモノを大きく覆すハメになってしまった。

===chatroom===
「初めまして、碧です。」
「こちらこそ、初めまして。」
「今日は、将来の自分がどんな道を歩めるのか調べたいと思い、チャットに参加させて頂きました。
どうぞよろしくお願いします。」
「ありがとうございます。それでは、チャットを開始致します。」

ここまではオーソドックスだった。
でも、ここから先がとんでもない返答が続いたのだ。

「いきなり唐突な質問をして申し訳ないのですが、私は将来結婚出来ますでしょうか?」
「間違いありません。」
「(¨* )あのぉ…嘘付いてないですよね!?」
「誰が嘘吐きなんですか?私は真実しか伝えません!」
「本当に結婚出来るって事ですよね!?」
「はい、恐らく長い時間が懸かると思いますが、間違いありません。」
「それなら良かったです。では、相手は何時頃見付かると思われますか?」
「遅くても2,3年後には見付かると思います。」

チャットの内容は益々エスカレートした。そして、将来の相手については、余りにも有り得ない説明が返って来た。

「そうなんですか。では、相手はどんな方ですか?」
「どんな方と言われましても...ただ分かっているのは“関西在住”の方です!」

思わず耳にピーンと響いたのは【関西】と言う言葉だった。東京で仕事をしているだけに、最初は耳を疑ったけれど、「何時か大阪に戻りたい!」との気持ちが、痛い程反映されている。
後もチャットは続いた。

「関西と言っても、どんな感じでしょうか?」
「兵庫県の方だと思われます。」
「相手は、何処か大学を出られていますか?」
「はい。何処の大学と言うと説明が長くなりますが、同じ大学ではないですね。また、貴方の様な理知的な女性は、同じ大学の人には理解され難いでそう。」

私の学生時代までもがチャットに反映されているーーー。

現役学生時代、在籍していた学科だけではなく、他学科の教員とも仲良くし、授業中に質問しまくって【教授殺し】と言う渾名まで付いた位だから。一方で、友人が殆ど出来ず、周囲から“オタクリ”と言う俗称を付けられて嫌われた、とても辛い思い出があるから、同じ大学の人とは結婚出来ないのは、もう既に解りきっていた。

それにしても、自分が将来出会うであろう相手の【卒業した大学】って、一体何処なのだろう?
もうそろそろ一旦区切りを付けたいので、最後に一言だけ質問した。

「最後になりましたが、私の相手となる方の母校は何処ですか?」
「ここで名前がバレるとまずいので伏せておきますが...
間違いなく“時計台のある大学”です!」

と、時計台...

私が夢の中で彼と出会った、あの時計台の事なのだろうか!?若しそうならば、現実世界で彼を探しに行くしかないだろう!

そんな濃い内容の夢を見てから、彼に対する思いが、益々強まった。
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