会長代行、貴方の心を全部わたしにください

episode 10ーホッとしたんだ

奮起した老人パワーは凄まじかった。

講習時間後は若い受講者に教えをこい、その後には俺のスケジュールの空きを調べ、俺との特別講習を受けた。

気合いじゅうぶん熱の入った彼らから、必ず合格してやるという、強い意志を感じた。

かくして半月後、彼らは見事にパソコン検定３級を勝ち取った。

彼らの合格で教務課は不安から、一気に歓喜でわきあがった。

彼らをご老体が合格するものかと見下し、受験させまいと教務課に乗り込んできた兄。

さぞかし悔しさと歯痒さで猛り狂っているだろうと思うと、一言苦言でも言ってやりたい気分だった。

俺の所に、合格通知を自慢気に見せにきた彼らは「結城くん、合格祝いに一杯やろうじゃないか」
と、高らかに笑った。

「ええ、穴場の店、予約しておきますよ。ボトルキープして」

「楽しみにしているよ」

「君の兄上殿によろしくな」