気まぐれ猫くんの手懐け方

見せて?



やってしまった。


現在、数学の時間。

私は教科書に並ぶ数字を目で追いつつ、頭の中では先ほどの猫くんとの会話が無限ループで流れている。


あんな賭けに乗っちゃうなんて。

どうかしてる。

いくら挑発されたからって…。


いや、でも、猫くんが私を好きになるなんてありえないしこれやっぱり負けが決定してるんじゃ…?

待って待って落ち着いて考えるのよ陽愛。

私だって猫くんのこと好きになるわけないじゃない!!


…そうだよ、私が猫くんのこと好きになるなんてありえない。


「ねえ」

「…?」

「早く、めくってくんない?もう次のページのとこ進んでるんだけど」


「え?」と、猫くんを見れば、頬杖をつきながら人を馬鹿にするかのような表情で私を見てくる彼の顔がいつもよりも近くにあって。

少し。

ほんの少し手を伸ばせば余裕で触れてしまう距離。


私はすぐに猫くんから目を逸らし、黒板に書かれている内容と教科書を照らし合わせて

彼の言うとおり授業が進んでいることに気づいて慌ててページをめくった。


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