愛すべき、藤井。
いや、分かってたけどさ!!藤井にとっての私はどう頑張ったって友達止まりだってことくらい、分かってたけどさ!!


でも、ちょっとは真剣に受け取ってくれても良くない??こんなんじゃ諦めもつかないっつーの!!


あーほんと、どこまでも、どこまでも鈍い。
鈍ちん藤井を好きになってしまった私の青春はどうなるんだろう。


こんな片思いで終わる予感しかしない青い春……嫌だよ、私。



私だって、彼氏作って楽しい放課後デートしたいんじゃ〜〜〜〜〜!!!!!!!願わくば、藤井がいいんじゃ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!


「藤井のクソ野郎〜〜〜〜!!!!」

「まぁ、まぁ。落ち着きたまえ夏乃よ」

「これが落ち着いていられますかってんだ!」

「分かってたことじゃん、藤井がどうしようもないくらい鈍くて残念なやつだってことは」


今年の夏はやけに暑い。

ワイシャツの下に着ているキャミソールが汗で肌にくっつくのが気持ち悪くて、ボディシートで体を拭きながら自分の席にて項垂れる私、伊藤 夏乃《いとう なつの》、高校2年生。

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