副社長のいきなり求婚宣言!?
5 副社長様に愛されました
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 そんな素敵な夢を見終わってから、もう二週間が経とうとしていた。

 社内コンペの応募は先日締め切られた。

 聞くところによると、前回にも増して応募数は多かったらしい。

 社の精鋭達がこぞって応募するのだから、私の描いたものなんて霞んでしまうんじゃないかと思った。


 ――“これはいけると俺も思ってる”。


 私をあそこまで信じてくれていた副社長の声が懐かしい。

 あれから、副社長とは社内で遠目にでも鉢合わせることはなくなってしまった。

 日が経つにつれ、内線電話が鳴るたびに、出るのが怖くなっていった。

 変に期待をしている胸が、ヒリヒリと痛み出すようになってきたから。


 もし、……もしもコンペで入賞することができたとして、春からデザイン部門への異動を命じられたとしても、……今の私には、何かいいものを描ける自信がなくなっていた。


 やっぱり私は、誰かのために……副社長のために、描いていたかった。
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