ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
ふたりきりの時間

 こうして、葵と蒼佑の同居は始まることになったのだが――。

「えっ、あなた仕事行かないの!?」

 お昼に、店屋物のおそばを食べながら、なにげなく今後の予定を尋ねたら、「仕事にはいかない」と言われて、葵は仰天した。

「未来永劫行かないわけじゃなくて、たったの一週間だけだから」
「いやいや……一週間もいかないって……」

 葵は箸を置き、姿勢よくおそばを食べている、テーブルの向こうの蒼佑を呆れた顔で見つめた。

 葵は今回の怪我で、会社には医者の診断書と一緒に、退院後、一週間の休みの申請を出している。実際、長時間の立ち仕事は無理そうなので仕方ないのだが、蒼佑も一週間休むと聞いて、仰天してしまったのだ。

「私がこんなことを言うのも変だけど……会社は大丈夫なの?」
「俺の承認が必要なものだけ、連絡が来ることになってるから大丈夫だ」
「そう……」

 HFの御曹司ともなれば、都合はつけられるのかもしれないが。自分のせいで、蒼佑の立場がまずいものになるのではないかと、そんなことが気になった。

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