私の声は君だけのもの

side優希



今日は俺の誕生日

毎年夏音が祝ってくれる


夏音は毎年ケーキと唄をプレゼントしてくれる

確かに夏音のケーキは美味しいし、唄は独り占めしたいくらい綺麗だけど、俺は夏音と二人きりで過ごせるだけで嬉しい



最近忙しすぎてあんまり夏音とゆっくりできなくてイライラしているけど、今年も夏音に祝ってもらえることが楽しみすぎて仕事中もにやけてしまう



そういう日は直ぐに撮影を終えることができる



仕事が早めに終わって家に帰ると、笑顔で夏音が出迎えてくれる

もうこれだけで幸せだったりする




今年も毎年のようにケーキつきの豪華な夕食を食べる


その後に夏音が俺に唄を唄ってくれる


昔に録画しようとしたら怒られてから、毎年こっそりと録音だけしている

それはパソコンやケータイに保存してあって、俺の宝物だ



今年も唄を唄ってくれた後に、二人で座って沢山話をする

毎年、誕生日だけは俺がお願いすると何でも聞いてくれるから、俺の膝の上に俺と向き合って座ってもらう



「今年はね?優希に形に残るものもあげようと思って他にもプレゼントを用意したの」


「ありがとう……ピアス?」


「優希はピアスとか集めるの好きでしょ?だから、もし良かったら私とお揃いとか嫌かなって……」


そう言って上目使いで顔を真っ赤にして聞いてくる夏音

これが計算じゃないとかなんなの……


「マジで可愛すぎ」


「もう!またからかって!

そういえば!私ね、今日お友だちができたの!」


「良かったね、名前は?」

「歩都くんっていうの!」


「……歩都?男?」

「そうだよ!女の子にスッゴくモテモテなんだよー」


「ヘェ……ヨカッタネ」

「うん!」


すっごい嬉しそうな夏音

けど俺はイライラが収まらない


「明日、早いから先に寝るね
今日はありがとう、おやすみ」


それを誤魔化すかのように俺は寝ることにした


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