センチメンタル


「かなり広い敷地だよね。大きな施設があったのかなー?」

 私はそう言いながら開いたままの窓から顔を突き出し、外を見回した。隣で彼がそうだなと熱意のこもらない相槌を返す。

「こんな駄々広い場所、普通に考えて工場とか何か・・・」

 その時、ハッとした。

 何かが頭の中でチリンとなったような感覚。

 窓枠を右手で掴んで、私はゆっくりと視線を走らせる。新しく作られたらしい黒々とした道路、それに沿って走る街路樹とフェンス、その向こうには標高の低そうな山が3つ連なって見えていて、長年その場所から動いてないような古い外灯が風に小さく揺れている――――――――――――


 ・・・あ。


 私はここを、知っている。

 
 ここは、あの時の――――――――――・・・・・





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