復讐
第5章 急転 前編

第5章 急転 前編











ムコウジマ警察署 署長室にカザマが呼び出されていた。


椅子に座った警察署長がその前に直立不動で立つカザマを見上げる。


「カザマ、犯罪者が正当に裁かれない今の司法制度に納得できないお前の気持ちは分かる。

しかし、現在の状況から見て今回の事件は無差別殺人と判断せざるを得ない。

モリヤマやニシベが懸命に捜査すればするほど、サカグチと被害者夫婦の接点は出てこないだろう?」


「はい。」


「4日後に行われる精神鑑定次第だが、

サカグチの心神喪失もしくは心神衰弱は免れないかもしれない。」



「署長、お願いがあります。
最後にもう一度現場を調べさせて頂けないでしょうか?」


「オオシマ夫婦の家をか?
今さら何を調べる気だ。」


「分かりません・・・お願いします。」



「・・・分かった。
これが最後だぞ。」


「ありがとうございます。
失礼します。」



カザマは署長に一礼すると部屋を出た。


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