眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。
エピローグ

運命だと豪語しただけあって、私たちの関係はあっという間に進展していった。

恋人になっても彼は紳士的で、いつ手を出されるかドキドキしていたのに、本当に派遣の契約が切れるまでの一か月は学生みたいなお付き合いのみ。

 派遣の最終日、最初に打ち上げをしてくれたアクアリウムカフェを貸し切ってお祝いしてくれて――ホテルの最上階のBARで約束通り口説いてくれた。


それから私のマンションの更新日と眞井さんのマンションの更新日が重なる運命が起き、真面目な彼はうちの両親に挨拶に来てくれて一緒に住むことになった。


とんとん拍子で進んでいく関係に、それでも私は嬉しくて毎日家に帰るのが楽しくなった。



私も正社員として、ちゃんと秘書を続けられることになり一安心だ。


「社長から聞いたよ。貴方、私のこと疑わなかったんでしょ?」

 帰ろうとして同時に会社を出た崎田さんが、意外そうな顔で聞いてきた。

「疑うって?」
「派遣会社にあなたのこと密告した人。私だって疑わなかったの? 会社ではそんな噂流されそうになったんだけど」
< 55 / 58 >

この作品をシェア

pagetop