『グループ全体の利益は、前年度を大きく上回る結果となり、次なる目標として__』

壇上でマイクを片手に話す奏多さんを、私は大会議室の隅の位置から眺めていた。

私が月島ホールディングス本社勤務となって、二週間が経過していた。
運命的に彼と出会って、勢いで結婚することを決めたが今となっては、あの日の出来事がすべて夢であったかのような気がしている。

なぜなら、彼とはあれから一度も、会っても話してもいないからだ。

月に一度行われるという全体終礼で、遠くから彼の姿を眺めるこの場にて、ようやくあれ以来、彼の姿を目にした。
しかしその存在の遠さを、今になってあらためて感じていた。

結局あの日はドレスを決めてから、そのまま私は本社へと出向き、彼も忙しさに抗えず業務に戻った。

『しばらく決算で自由がないんだ。連絡できないかもしれないけど、俺を信じて待っていてほしい』

彼と私を繋ぐものは、別れ際に言われたその言葉だけとなった。

それを信じて待っていたが、二週間も話せないとは思ってもいなかった。