「うわーーー、何ていうか…」

洸が初めてあのカードキーを使って俺の部屋を訪れたのは、それから一月が経った頃。俺の希望は、いつもすぐには叶わない。

「___質素?」
「ウルセエよ」

俗にタワーマンションと呼ばれるロフトの2LDKには、キングサイズのベッドの他に、パソコンデスクと書棚と、ちんまりと生活に必要な最小限の家具が置かれているのみ。


ここ一ヶ月は、ほぼ会社に泊まり込みで仕事をしていた。
普段からそんな生活が当たり前だったから、その事自体に何も疑問を持たなかったが…

今回ばかりは、せっかく洸に合鍵を渡したのだからと、焦る気持ちが大きかった。

ただ、お蔭といったら何だが、あと半月はかかると言われた仕事を15日も短縮できた。
こうなると、
最近もてはやされている「ライフワークバランス」というやつも、一考する余地はあるなと、新たな発見をしたところだ。

「元々資産運用のために買っただけだったから。それに、たまにしか帰らなかったし」

「ふーん。何ていうか、勿体ないね」