人間複製機
信用を勝ち取る
「ナオを複製したんだろ」


ひと気のない廊下へ移動した弘樹がさっそくそう聞いて来た。


あたしはめんどうくさくなってため息を吐き出す。


「そうだよ。あんただってあたしを複製したじゃん」


「俺は悪用はしてない！」


「悪用してない？　それって本当？　あたしの複製とデートしたんじゃないの？」


そう聞くと、弘樹は視線を外した。


確かにあたしがナオにしたことの方が悪質かもしれない。


けれど、弘樹だって十分最低な行為をしてきたはずだ。


本物のあたしを抱いたことを忘れたとは言わせない。


「ゴミ袋をその場に放置したんだろ」


「それは……忘れてただけ」


「忘れてただって？　そんなこと許されると思ってるのか？　複製機の存在が周りにバレたらどうするんだ！」


「うるさいな！」


あたしは思わず怒鳴り返していた。


「複製機はあもうあたしのものなの！　あんたには関係ない！！」


そう怒鳴ると弘樹をその場に残してあたしは教室へと戻ったのだった。
< 174 / 211 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop