人間複製機
饒舌
その日の放課後、あたしは弘樹に2人で帰らないかと声をかけた。


あたしが声をかけた瞬間、弘樹の頬が少しだけ赤く染まる。


「なんで、俺と?」


弘樹は戸惑った表情を浮かべてそう聞いて来た。


「弘樹ってN区の方に帰るんでしょ? あたしも途中まで方向が同じなんだ」


一緒に帰る理由としては弱かったけれど、弘樹は嫌そうな顔はしていない。


「そっか……」


小さな声で返事をして、そそくさと帰る準備を始めている。


「この前はぬいぐるみをありがとう」


2人で歩きながらまずはそう言った。


「全然、あれくらいいくらでもあげるよ」


弘樹は頬を高揚させてそう言った。
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