アウト*サイダー

 たんたん……と軽い足音。それがこっちに近づいてくるだけで箸を持つ手に力が入っていく。

 そして、隣にストンと腰を下ろしたケイ。思わず顔を上げてしまったことにすごく後悔する。リョウスケよりも近いその距離で目が合い、見つめられて、嫌でも昨日のことを思い出す。

「リョウスケと仲良かったっけ?」

 彼の何を考えてるか分からない目。

 皮肉っぽく上がった片方の口角。

 この知らないケイの顔と、今までのケイの顔がごちゃごちゃになって頭が混乱する。

 私が誰と仲良かろうが放っておいてくれって感じだし、こっちだって何で避けるようなことしたのか聞きたいし、そもそも私はあんたが勝手にキスとかするからパニクっちゃったし、それに、それに…………

「な、なんで、追いかけてくれなかったの?」

 出だしが上擦って、泣いてないのに泣いてるみたいで顔を俯かせた。

 それから全身が熱くなって、鼓動の音が激しく鳴り響く。

 正直、避けられたことより何より、昨日教室に帰るといった私を引き留めてくれなかったのが寂しかった。
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