アウト*サイダー
「ハスミン、友達とられちゃったの?」
右隣から聞こえた、ちょっと低めの落ち着いた声。
須賀さんがお友達と机に広げたお菓子をつまんでいた。……あ、キノコの形したお菓子。タケノコのもある。
子供の頃はどっちにするか悩みすぎて結局買ってもらえなかった苦い思い出があるな。
「ハスミンって! スガっちゃん、ネーミングセンス、ダサすぎだよ!!」
須賀さんの前の席に座っていた巻き髪の子が手を叩いて笑う。これはまたキャラの濃い友達だな。というより、人のこと指差してゲラゲラ笑って怒られない?
須賀さんを見ると、全く無視していて、キノコのお菓子を私に渡してくれた。
彼女に倣って巻き髪の子を無視してお菓子を食べる。うん、安定の美味さだ。
「河西とは、また面倒なもんに目つけられたね」
須賀さんに返事を返すかわりにお菓子のお礼だけ言って、人の壁の向こうにいるハルちゃんに目を向ける。そこに、ついさっきまで私に向けてくれていた、柔らかい笑顔があった。