アウト*サイダー

* 二人の場所



 前にも、こうやって手を繋がれて歩いたな。ケイの背中を眺めて、ぼんやり思う。

 色々と気になることはある。河西さん達の怪しい行動に気付いて、なるべく自然にリョウスケとケイに用事があると伝えて別れたのに、彼があの場に居合わせるなんて。

 ……いつから居たのだろう。

 もし、堀江君に告白してる所を見ていたら?

 一度も振り返らずに歩き続ける背中に、不安が募ってくる。

 あれはハルちゃんを助けようとしてした告白で、堀江君に対する気持ちは何にもない。そうだ、なら、あれは告白のうちには入らないのでは?

 ただの“す”と“き”が繋がった単語を、何の気なしに言ったに過ぎないのだ!

 ……無理がある。

 何でもないと自分に思い込ませる分だけ、ケイへの罪悪感は増す。この間の昼休みにだって、不甲斐ない姿を見せてしまったのに。

 上手い嘘も思い付かないし、どうすればいいのだろうか。

 立ち止まってこっちを向いたケイが、辺りを見渡した。それにつられて私も、ここがどこかを確認する。

 ……ケイにキスされて以来、来ていなかった彼の秘密の場所。鬱蒼とした茂みの奥には、その入り口が見える。

「さすがに放課後は誰かに見られてるかもしれないけど、門を出て回り道するのも面倒だから」
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