アウト*サイダー

* 夏空



 学校からの脱出は私が思っていたよりも呆気なく、少し残念なくらいだった。後ろから先生が追いかけてくることも、お巡りさんに怪しげな目で見られることもなかった。

 私たちがまず向かったのは須賀さんの家で、テレビなんかでしか見たことのなかったウォークインクローゼットとかいうセレブリティな場所に案内された。

 男子一同は呆然と立ち尽くし、私とハルちゃんはズラリと並べられている衣服を興味津々に眺める。そんな様子を篠田さんは得意げに見ている。

 須賀さんは忙しそうに服をかき集めていて、それらを両手いっぱいに抱えると「本当は好きなのどうぞで良いんだけど、やっぱりコンセプトは揃えた方が格好いいからね」一人一人に手渡しながら言って、今度はフィッティングルームへと連れていく。

 部屋の両側がカーテンで仕切られていて、カーテンを閉めると中央が細い通路のようになっている。男子と女子で分かれて、それぞれの服に着替えることに。

 着替え終えたタイミングで「皆ちゃんと着れた?」須賀さんが声をかけた。全員が返事を返すと「じゃあ、せーの、で皆出てきてね!」篠田さんが声を弾ませる。

 彼女の掛け声で皆が一斉にカーテンを開けた。
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