アウト*サイダー

 重い気分をぶら下げて、ノロノロと自転車を漕ぐ。

 前方に見える交差点前には一人しか信号待ちしていない。普段だったら同じ制服が大きな団体を作って占領している場所だから、なんだか違和感。

 信号待ちしていた同じ制服を着た男子の少し後ろで自転車を止める。キィ、というブレーキの音。それに反応して前にいた男子がちらっとこっちを見て、一瞬だけ目が合う。

 ほんとに一瞬。すぐにお互いが前方で赤色に点る信号機に目をやった。 

 ……それから、私は前に向き直った彼を後ろから観察する。

 ダルそうにハンドルの所に腕を乗せてひどい猫背になっている。……あ、大きな欠伸までして。そんなに眠いのかな、と思いながら私も欠伸を噛み締める。きっと人に見せられる顔じゃなかっただろうが、今は周りに彼しか居ないから気にしない。

 それにしても彼の癖のない、ストレートの髪が羨ましすぎる。あれは天然なのか、セットしているのか。

 私は癖毛とまではいかないけど毛先がその日の気分ではねてしまうから耳にかけて誤魔化すしかない。
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