『来年の今日、同じ時間に、この場所で』

シャーペン

真っ白になった教室の窓は
外が寒いことを物語っていた。


3年生の先輩が
この学校へ通うのもあと少し。


来年のクラス替えの話が
チラホラ教室の片隅みで話される頃
思いもしないことが起こった。


「真凛、おばあちゃんが、もう1人で生活するのが難しくなってな…。」

田舎で一人暮らしするおばあちゃん。
小学生までは夏になるとよく遊びに行っていた。
部活をやり始めてからは会っていない。

「中途半端な時期で真凛には辛い思いをさせるけど仕方ないんだよ。」

うん。
わかってる。

お父さんの話は私も賛成だった。
おばあちゃんと過ごせるのは
あと1年もあるかわからない…

でも…


ベンの笑顔が頭に浮かんだ。






2年生の終業式が終わったら
みんなともお別れ。

そう…
ベンともお別れしなきゃいけない。



でもまだ中学生の私には
どうすることも出来なかった。



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