この事件のせいで、状況が一変してしまう。
 翌日も警察が出入りした。規制テープも貼られたままで、とてもではないけれど開店というわけにはいかなくなった。
 弟が臨時休業の貼り紙を出す。

「もう、だめかもな……」

 弟も覚悟をしたようだった。

 弾痕が残る壁、壊されたトイレのドア、営業できない店。黄色の規制テープ。
 噂はこの店の評判を落としていくだろう。ヤクザが出入りして銃撃戦があった店。そんな店、もう誰も来ない。

 それでも。十日後には壁の修復も、トイレのドアの修復も終え、弟はひとまず開店することを決意する。
 やはり。誰も来なかった。一日、二日。来ない。

 この店に来てくれた奥様達は、黄色の規制テープを見ただけで怖じ気づいてもう二度と来ないだろう。
 トラックドライバーも、危ない男が出入りしていた店などと知っては身の安全を考慮して来なくなるだろう。

「今日もだめか」

 弟ががっくりとうなだれる。
 こんなに激変してしまうだなんて。私達姉弟はなにも悪いことはしていない。むしろ被害者だった。

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