マリンシュガーブルー
10.奥様ですか?

 今年のお盆は、お腹が大きいから東京の実家には帰らないと義妹が言う。

 あちらのご両親も初孫とのことで大変楽しみにしていて、娘にも会いたいがなにかあってはいけないからと盆帰省は諦めてくれた。

「うわ、助かるわー。盆もやってるとは思わんかったわ!」

 顔なじみのトラックドライバーが港のフェリーから降りて来店してくれた。

「いらっしゃいませ。今年は営業することにしたんです。ドライバーさんも年中無休で大変ですね」
「ほうよ、物流に休みはないけんな。いまからまた高知までよ」

 ここから高知までまだ三時間から五時間はかかかる。そのまえに腹ごしらえ、盆休みでいきつけのお店が軒並み休みだったと教えてくれた。

「うっそー、開いてる。よかった!」

 今度は常連のママさんがお子様を連れてやってきた。

「妹が帰省してきて、どこかでごはん食べようということになったんだけれど、ここに連れてきたかったのよ。でもマスターとお姉さんだけでしているからお盆も休みかと思ったのに」
「今年は営業することにしたんです。お盆なのに来てくださって、ありがとうございます」

 お盆なのに、いつも通りの来客数で忙しく過ごした。

 ただし通常定休日に、任されている墓参りや先祖供養もこなした。私がお嫁さんだから、これからやっていくんだからと、莉子が細々とこなしてくれたおかげだった。
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