元ヴァイオリン王子の御曹司と同居することになりました
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それから、以前のような同居生活に戻ったというか、半同棲生活が始まったというか……。

基本は以前と変わらない。

違うのは、出海君と心も身体も距離が近くなったこと。

こんな素敵な人に愛されているという自分を少しずつ受け入れられるようになったということ。

とはいえ、まだ結婚という決断に踏み切れないまま、自宅マンションを引き払えずにいる。



そんな私に、出海君は、家族写真を見せてくれながら、
「これが両親と妹。母の実家は希奈さんの実家と同じ市で、だから小学校の夏休みに、あそこのジュニアオケに入ったことがあるんだ」
なんて話をしてくれたり。

「今の市民オケ続けてもいいし、東京にもたくさんアマオケあるから、移ってもいいんじゃない?」
なんて提案してくれたり。


何しろ彼のことだ。
私が彼との間に作っていた壁を溶かしたように、私が結婚に対して抱く壁も溶かしてしまうんだろう。



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