結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
泉堂社長、間近で見ても本当にカッコよかったな。

顔だけじゃなく、全身から大人の色気が漂っていて、包容力もあって紳士的で。まさにパーフェクトな男性だな、と常日頃から思っている。

去年、社長に就任した彼は、三十五歳で独身。引く手数多で女性は選びたい放題だろうに、なぜ結婚しないのか不思議で仕方ない。

まぁ、きっと忙しいのだろう。今日も仕事しているみたいだったし。


なんとなく考えながら歩いていると、すれ違うのはカップルばかりだということに気づく。

高校生らしきカップルが顔を寄せ合ってスマホで写真を撮っていたりして、若いっていいなぁと羨ましくなる。

芋づる式にお見合いのことを思い出し、足取りが一気に重くなった。

もっと早くから恋愛に対して積極的になっていれば、苦労することもなかったのだろうか。

社長みたいな完璧な人じゃなくていい。普通でいいから、ありのままの私を愛してくれる人を見つけたい。

でもそれは、顕微鏡でミクロな細菌を見つけるよりはるかに難しい課題で、いつになったら解決できるのか見当もつかなかった。




< 10 / 276 >

この作品をシェア

pagetop