ケーキ屋の彼

「柑菜さんも、惚れてるでしょ?」


美鈴の言葉に、涼は真っ直ぐな視線で美鈴を見た。


「大丈夫よ、別に意地悪なんてしないし」


「そうですか」


ーー柑菜の気持ちには気がつくくせに、俺の気持ちは一切感じ取ろうとしないんだな、いや、わざと……なのかもしれない。


美鈴は、「あ、そうだ」と言うと、鞄から紙袋を1つ取り出した。


「これね、秋斗から、あ、パティシエね。柑菜さんにだって……褒めてくれたお礼」


涼は、それを受け取る。


だけど、お菓子よりも2人の関係が気になる涼は、さらなる質問をした。
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