「おい、栗原。なんだ、これは?」

仕事の打ち合わせで外出していた俺がデスクに戻ると、部下の栗原朝海に紙袋を渡された。
中身を確認すると、カラフルなマカロンが入っている。

正面に立つ栗原を見据える。
「昨日のお礼です」
栗原はペコッとお辞儀して、自分のデスクに戻っていく。

昨日のお礼…。
あぁ。昨日のね。
別に大したことしてないのに。

いや、それにしても、昨日は強烈な一日だった。

部下の栗原は眼鏡をかけ、いつも地味な格好で、目立つような存在じゃない。
ただ、仕事の面で俺は一目置いている。
正確性とスピードの速さ、丁寧な仕事ぶりは、真面目な彼女の性格をよく表している。

でもこの前、眼鏡を外した彼女を見て、「眼鏡ないほうがカワイイなぁ」と思った。
彼女はまるで武装するように地味な格好をして、可愛らしい素顔を隠している。

「もったいないな」

俺の呟きは誰にも聞かれていない。
彼女の地味な格好がもったいないのか。
目の前の甘そうなマカロンを食べるのがもったいないのか。

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