パーティーでは何も食べられなかったので、ホテル内のフレンチレストランに寄ることにした。

エレベーターが3階に到着して扉が開くと、正面に豪華なフラワーアートが目に入った。
フラワーアートはまだ制作の途中で、あと少しで完成といったところだった。

フラワーアートのそばで、ふたりの男性がどうやらフランス語で話している。
制作の途中で花屋さんが倒れてしまい、代わりに生ける人がいないようだった。

「あの、お困りでしたら、少しお手伝いしましょうか?」
私がフランス語で話したことに、ふたりの男性と和真さんは目が点になっている。

私は花を手に取り、生け始めた。
花の生け方は亡くなった母に教わった。
華道という立派な習い事ではなかったけど、幼いながら、花を生けることは楽しかった。

昔のことを思い出しながら、なんとか生け終えた。
「どうでしょうか?」
ふたりの男性に声をかける。
「素晴らしいです!!助かりました。ありがとうございます」
「良かったです。それでは失礼します」

私なんかでも誰かの役に立てたなら、本当に良かった。
ホッと胸を撫で下ろすと、和真さんは私の肩をがっちり抱えて歩き出した。

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