【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜


好きで好きで好き過ぎて、周りが見えなくなっていたのに、自分から壊したようなものの…恋。

ずっと違和感は感じていた。
でもそれを認めたくはなかった。

その時すぐに、彼のことを「裏切り者!」と切り捨てられなかったのは、それでもやっぱり彼のことを愛していたからなのかもしれない。


強気に出てツカツカと歩み寄り、その場で罵倒してやれば良かった?
彼女の前で洗いざらい告発して、平手の1つでもお見舞いしてやれば…?
それとも心底「愛しているんだ!」と縋ったら…?

でも…そんなことをしても、私に与えられた試練は揺るがないのだし、変わることはないのだから…。


そして、その後久しぶりに彼と会うと、彼は案の定…とても傷付いたような顔をして…「ごめん」と言った。
私よりも傷付いた顔をして…。

「もう、付き合えない」

と。

ねぇ…。
付き合えないんじゃないでしょう?
もう…既に終わっていたんでしょう?


それでも私は何も言えずに、去って行く彼の背中を黙って見送った…。

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