君を愛していいのは俺だけ

「陽太くん、おはよう」
《おはよう。起きるの早いね。ちゃんと眠れた?》
「うん。でも楽しみだったから、ちょっと早く目が覚めちゃって」
《そっか。俺も楽しみにしてたけど、疲れてたみたいで熟睡したよ》

 廊下を歩いているのか、スリッパの音が聞こえてくる。


「陽太くんは今起きたところなの?」
《そうだよ。寝室からリビングに来たところ。あぁ、やっぱり朝は寒いなぁ》
「今日は雪が降るかもしれないって、さっきテレビで言ってた」
《雪かぁ、そりゃ冷えるわけだな。仁香、暖かい格好してね》
「うん、ありがとう」
《十一時には、仁香の家に迎えに行くから、住所を送っておいてくれる?》
「わかった。このあと送っておくね」

 彼も身支度をすると言って、終話した。


 大人になった二人が改めてデートをするなんて、考えただけでなんだか不思議な気分だ。

 七年前の再現をしているような会話に、頬がほころぶ。
 それに、空白の時間を感じない自然なやりとりが嬉しかった。


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