君を愛していいのは俺だけ

「願いごと、聞いてくれるから来たんだろ?」
「うん」

 お見合いに必要なことだと思っていたから、呼びだされた理由に首を傾げると、彼はおもむろにスーツのポケットに手を入れた。



「一生、俺から離れないって約束してほしい」

 彼が差し出した小さな箱が開けられ、キラキラと輝くリングが飾られている。


「……俺の過去にも未来にも、仁香が必要なんだよ。仁香以外、考えられないんだ」


 切なさで押しつぶされそうだった七年間の日々も。
 笑顔で溢れる時間が、再び訪れた再会の日も。


 彼に恋をしたあの日、決まっていたことなのかもしれない。


 突然のことに驚き、感情のままに涙が頬を伝う。
 渡されたエンゲージリングに、過去の恋の始まりの日付と“Eternity”の刻印を見つけた。


「結婚しよう、仁香」



            ― fin ―
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