四月某日 SUNRISER執務室。

 起業して、世に認知されるようになり、日頃からお世話になっている客先との関係が深まるにつれて、縁談が持ち込まれるようになった。


「社のためにもそろそろ身を固めていただけませんか。これで九回目ですよ」

 社長秘書を設けず、最も信用できる佐久間に秘書業務も任せてあるけれど、毎度断りを入れてもらうのに悪いとは思っている。

 今までの縁談は、アパレル業の社長令嬢が三人、海外の美容商社とIT関連企業の会長令嬢が一人ずつ、大病院のお嬢様が一人。

 仁香の友達との縁談だけはどうしても断りきれなくて面会には応じたけれど……。
 社のために結婚するなんて時代錯誤も甚だしい。


「分かってるよ」

 だけど、仁香と再会した以上は彼女としか結ばれるつもりはない。